この本は、アメリカ野球と日本野球の成り立ちの歴史を紹介しながら、
日本野球がなぜこのような形態になっているのかを解説してくれている。
野球人の居酒屋トークを楽しんでいる人は、
これを読んでおくと話に深みが出るというか、
いわゆる「日本的精神野球」がどういういきさつでデキているのか
よくわかると同時に、改めて先人たちから受け継いできている野球が
愛おしくなるのではなかろうか?
ざっくりというと、アメリカでは、地域の遊びから発祥したのに対して
日本では、明治5年(1872年)
現在の東京大学の英語の外人先生ホーレス・ウィルソンさんが、
運動不足で部屋にこもりがちのエリート東大生を
グラウンドに引っ張り出すために野球を教えたのがスタートだそうだ。
当時の東大生というか大学生は超エリートである。
そこに、ウィルソン先生がやってきて体格が貧弱な学生を心配し、
『野球で健康づくり』というわけだったようだ。
この心意気は自分でやることを当てはめてみると、
つくづく嬉しい。私の好きな行動だと思う。
神奈川から1人で大阪に出てきて、
自分でやっていて悩むことも多くあるが、
この心意気を野球人として
マネしてやっていると思えば私も勇気が出る。
そして、この「野球」が日本人・・・
それも当時のエリート学生の心を鷲づかみにしたようで・・・
なるほど、言われてみればなのだが、
当時の日本で行われていたスポーツといえば
剣道や柔道、など個人のスポーツであり、武道に結びつくものだったのだという。
その点、野球は個人対決の連続でもありながら、チームとしての機能もある。
そりゃ、「わが軍」とか言いたくもなる(笑)
全体に秩序があり、調和もあり、
儀式めいた間もあれば協調、忍耐、自己犠牲などの要素もある。
かなり日本人好みだったようで。はまるべくしてはまった。
かなり盛り上がった様子である。
当時の東大VS明治学院の試合において、
絶対に勝つつもりでいた東大が0-6で負けている状況で
イライラしているところに観戦に来た
明治学院のインブリー先生に石を投げつけて大ケガをさせてしまった
「インブリー事件」のエピソードなど、
危なく国際問題になるところだったのだという。
その時の学生の気合いたるや殺気どころのレベルではなかった模様。
かつての東大の選手の言葉には
「野球はたとえその形式やルールが外国から輸入されたものであったとしてもいやしくも日本青年の手に移った以上は日本精神を注入し、日本武士道の気骨を帯ばしめねばならぬ。日本人はあくまでも日本人の適合した型や大和民族の意気に融合する精神に消化してこそ、そこに始めて日本の野球としての意義が生まれてくる」
なんてステキな心意気
今のプレーヤーに聞かせたらハナで笑うんだろうし、
こういうのを、バカにするほうが賢そうに見えるのだろうけど、
私はこういう熱さが好きだし、このおかげで野球が日本で続いて来たのだと思います。
野球はスポーツじゃね~んだバカやろ~!
ってもんですね。
私の中学野球の監督はまさに
「楽しんで野球やりたいやつは帰れ!」でありました。
私はいいの悪いのではなく、そういうもんだと思ってました。
時代おくれになったけど後悔はしてません。
恨んではいるけど(笑)
当時の東大(一高)応援歌が強烈で
「花は桜木 人は武士 武士の魂そなえたる
一千人の青年が 国に報ゆる其の誓い
誓いは固し片町の 向ヶ丘に築きたる
高き高等学校の 誉は世にもならびなき
智徳兼備の第一と 世にも名高き甲斐ありて
富士の高嶺に比ぶとき 節操義烈勇ましく
なおその上にとぎ磨き 月日に励む腕力は
撃剣柔術銃鎗や ベースボールにボート会」
う~ん、熱い!
この本はそんな精神野球の話だけでなく、ルールの変遷の話も興味深い
打者のカウントも変化してきたのである。
そもその四球ではなかった。
「ちゃんと打てる球を投げろ!」という警告を3回したら
1ボールで、3回やったら出塁だったそうで、つまり9球
それが「長すぎる」などの調整で、6球になり4球になり、
また戻ったこともあったという。
「ストライク」というコールも
「いい球なんだから打てよ!」という意味でもあったそうな。
野球は『打つスポーツ』と捉えるアメリカだから打者有利のボールからコールする。
なるほど
他にもいっぱいあるけど、ぜひ読んでほしい。
そして、このネタを語りながら飲み会をしたい。
色々、野球は面白い。
もちろん、現在の野球もこうあれというわけではない。
私は現在の野球にとやかくいう資格はないというか、
「やっている人がやりやすいようにやってくださいな」と
ただ、多分、盛り上がりはさがっていくだろうな~という予想はしている。
プレイヤーズファーストと人はいうが・・・
やっている人が楽しんでいるスポーツを観客するという
メンタリティーは日本人にはないと思う。
そういう感じは家族や身内でやってくれと・・・
いいたくなるシーンばかりで、まぁそれが時代なんだろうけど
今の高校野球にプロ野球 私はちょっともういいやという感じである。
昔に戻れというつもりはサラサラないけど、
私にとって野球はのめりこみすぎてしまう。
今の高校生やらのように「ちょうどよく」楽しめない (笑)