「最後に勝つ負け方を知っておけ。」アントニオ猪木 青春文庫
この本は1990年に出た本の再編集&文庫化したものです。
猪木さんが47歳の時に書かれたものだそうです。
アントニオ猪木に関して言えば、プロレス好きだったワタシにとっても世代的にはもう峠を過ぎたレスラーでレジェンド枠という扱いだったように思う。
色々な伝説を聞いていると、
「これはそばで一緒に行動した人たちは大変だったろうな~」ということは感じる。
迷惑をかけた人も相当にいたことだと思う。
ただ、ワタシの世代の感覚でいえばプロレスよりも、
「その言葉のチカラ」が秀逸だったように思う。
「元気があればなんでもできる」は、世界に通じる名コピーだし、
「迷わず行けよ、行けばわかるさ」もそうだ。
この本を読んで知ったのだけど、家系的に政治家や実業家の家系だそうで、その気質が単純なプロレスラーにはない活動につながったのだなと合点がいった。
以前から知っていたエピソードの中で私が好きなのは、現在のロシア(当時はソ連)にプロレスの説明をする話だ。
「プロレスは八百長ではないのか?ショーか?」という解釈の相手に対しての説明。
「プロレスとは選び抜かれた人間同士が戦う。お互いの感性と表現力を最大限に発揮しながらお互いの信頼の上で戦う。攻撃一本槍ではない、相手の攻めを受けて受けて受けまくるところにも美学がある。だから強いレスラーは相手の得意技をどんどん使わせて受けて見せてから最後にこちらの得意技で仕留める。だから観客はコーフンする。」
そして、プロとして相手の必殺技を死なないように受ける「受け身」の重要性を説いた。
「受け身」「攻撃」「感性と表現力」そして「信頼」
プロだからギリギリの線で戦わなければいけない。でも絶対的な信頼関係が重要。
ワタシはこの話が大好きです。
この本を読んでいると、
「言っていることは立派だけど、そこは人としてどうなのよ?」というエピソードが多く、それもネタの内になるというのはどういうことかと不思議になる。
何度も離婚しているけど、裏を返せばそれだけ魅力的だったということだろうか。
この本を読んでいると、開き直りの強さというか、確かに元気になってくる。
気楽に読める元気本にもなるんじゃないかなと。